一年に七日の夜のみ逢ふ人の恋も過ぎねば夜は更けゆくも
万葉集


「銀河を渡るカササギ号の物語」その3
カササギは待機中


日は見えませんでしたが、あたりが急に暗くなったので日没と知ることができます。
空はまだ一面の曇り空です。
ぽつんと雨が落ちてきました。
やばいなあ、カササギは夜目で見えなくなった空を見上げつつ、
空気の湿度を測っていました。
とても湿った風です。

「雨だね」
「そうだね。下にいよう」

カササギは、木の葉の間に隠れました。

しばらくすると、強い風が吹き始めました。森がごうごうとなります。
じきに、雨も降り始めました。
だんだん、激しくなります。
枝が大きく揺れます。
雨のしずくが枝を伝って垂れてきます。
いつまで続くだろうか?

カササギは、葉陰や枝の後ろにひそんで、
身動きもせずじっと空気を感じておりました。
雨は降り続き、風は強くなる一方です。

「今年はダメだね」
「そうだね」
「来年は飛べるかな?」
「でも、まだ夜が明けたわけじゃないよ」
「でも、この雨風だよ。どうしようもないよ。まだ降るよ」

空気は、相変わらず重くじっとりとしたままでした。

じきに、カササギたちはうとうとしてしまいました。


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