金の斧の物語
ほととぎすbbsで随時更新中です。参加はだれでも。優秀作品には金の斧のペンダント・トップが贈られる、かも!?

§ 第31話 §

[993] Luna see   [ よっち〜 ]
おかえり〜とケムリは2人を出迎えた。
にこにこしてる、トロとコザを見て楽しかったんだなと、少し暖かくなったケムリだった。
「あのね〜えっちゃんが・・・」とえっちゃん家での事を話してくれます。
ケムリが玄関で出迎えているうちにハエオはまた浅い眠りに入り、夢とも幻覚ともいう不思議な物を見ました。
黄色い大地と青い大きな星
太陽がきつく照らしているが、暑さは感じない。
何処かの星のようだ、まるで月だな・・・
宇宙船にでも乗っている感じで星の裏側へ周わると、
大きな洞窟の様な入口が見え、その中に入っていく。
入口からしばらくは暗く、辺りが見えない。
ようやく仄かな明かりが見えてきたころ
「わぁぁ〜〜〜起きろ!!」
トロとコザが大きな声で戯れてきました。
夢にしては、リアルな体感が感じたハエオだった。
おお。お帰り。
「あのね〜えっちゃんがね・・・」とえっちゃん家での事を話してくれます。
この頃の子供は何度も同じことを言うものです
ケーキを食べたり、ゲームをしたりと楽しかったよと笑みでいっぱいです。

今度はケムリとハエオも一緒に来てねと言われたよとコザが言います。
大事な話があるようだよ〜
トロはそんな事お構いなしで手を洗いうがいをしています。
コザはやっぱりしっかりしてるね。

ケムリ「ハエオ、あなた養子を持っている家庭に優先的に火星/月の移住権が与えられるのよ、その事じゃない?」
ハエオ「そっか、えっちゃんとこ、今すぐの移住は無理だしな。それでか?」
   「俺達が移住すれば、えっちゃんともお別れだしトロとコザが悲しむだろうな。」
   「火星と月か・・・・・・・」
   「うちも今すぐは無理なんじゃないか?」
ケムリ「月へ行くべきよ」

月へ行きたいケムリ、火星が気になるハエオ。
ハエオはさっき見た夢のような物の事は、今は話す事ではないと思った。
今は、トロとコザの顔を見てるだけで幸せなハエオだった。


一体、どうなるのでしょうか?


§ 第30話 §

[992] ルナティック   [ guminoki ]
ハエオとケムリは兵庫プレフ三田シティに住んでいた。トロとコザという双子の赤ん坊を抱えて火星移住の日を待っていた。3ヶ月に一度抽選が行われるのだが、競争率が高いのでいつ火星に移住できるのか?わからない。3ヶ月に一度の抽選発表を市役所に見に行くのだが、たいていは肩を落として帰らねばなるまい。そうして10年もの間待ちつづけている家族もあった。
「ただいま」
「ハエオ?おかえりなさい。どうやった?」
「ああ、だめや」
「そう。いつものことやね」
「まったくなにしとるんやろうな。こうして一生ここに住んどうることになったらどうしたらいいねん?」
ハエオとケムリは関西での暮らしが長くて少しづつ関西弁がうつっているのだった。
「ん、それもいいやんか...今日水生牛のステーキよ。」
「なんやまたかいな。まあうまいからいいけど?」
「去年から値段下がりっぱなしで。海水面上昇する一方だから水生は安いのよね」
「たまにはほんとのビーフも喰いたいなあ」
「大阪に新しい店出来たそうやねん。松坂牛とか?昔の有名な肉牛のクローン食べれるみたいなんよ?」
「ふうん...ふたりはどうしたねん?」
「今日はお友達のお誕生会にお呼ばれしてるんの。...こんど食べに行ってみる?」
「ふたりでか?」
「久しぶりやな。照れるなあ」
「ちゃうちゃう。トロとコザふたり行っとるんか?」
「なんや。トロのお友達やけどね。ふたりでいらっしゃいて奥さんが呼ばれてくれてんねん」
「またけんかして帰ってこんならええけどな」
「ちゃんとプレゼント持たせてんねん。すぐそこやから大丈夫や」
「近くか?だれんとこや?」
「えっちゃんとこよ」
「ああ、えっちゃんか。お誕生日なんか」
えっちゃんちにはご両親がいらっしゃるが、えっちゃんのほんとの親ではない。えっちゃんの親はいまどこにいるのか?わからないのだ。えっちゃん自身は、そのことを知らない、はずだ。
「えっちゃんはええ子やな」
「ん〜、そうやね。安心してられるわ」
鼻で返事するケムリであった。
テレビをつける。
今日の火星為替レートはMAS$=155.3円です。円安傾向はさらに続いています。火星移住の割り当て量に影響が出ると思われます... 「まだしばらくは移住出来へんみたいやな」
「...」
「まあ、あわてて行ってもすぐ仕事にはならんやろけどなあ」
「...さ、出来たわよ。今日はワインでもあけましょうか?」
テレビのニュースをBGMにしばらく食事に夢中になるふたりであった。ふと気づくと、ケムリがハエオの顔を覗き込んでいる。
「?...なんやねん...どうした?」
「あのね」
「うん」
「あたしはね、最近、思うんだけど...月に行ったほうがいいんじゃないかしら?」
「はあ?なんやねん、急に」
「火星に行っても...だめなのよ。たぶん」
「なにが?だめなん?ようわからへん」
「あたしは月に行くべきだと思う」
「月!?きついぞ」
「でも行かなくちゃならないんじゃないかしら?」
「いままでこんなに待ってたんやんか」
「たった2年ぽっちじゃない。月に行くべきだわ」
「頭冷やしてよう考え」
「この数ヶ月よ〜く考えた結果やねん」
「なんや〜」
「それでね」
「まだあるんか」
「あのね、えっちゃんを連れて行くべきだと思うわ」
「はあ?...」
ケムリの話をハエオは理解できなかった。ケムリはなんで突然こんなことを言い出したんだろう?と思った。事務的に食事を終えるとテレビに夢中の振りをしながらいつしか浅い眠りに落ちて、ケムリと初めて出会ったときのことをぼんやりと夢に見るのだった。それは、どこかの山中の池のほとりだった。山に入るときはひとりだったが山を降りるときは4人だった。あれは?だれだっただろう?ケムリはなにか云っていた。ハエオはそれを聞いていた。ふと目を覚ましてつぶやいた。
「おまえは月の眷族云うとったな」
「そうよ。思い出した?」
そのとき、チャイムが鳴った。
「トロとコザが帰ってきたわ」
玄関にたつケムリのうしろ姿をねぼけまなこでぼんやり眺めながら、ふたたび浅い眠りに落ちるハエオであった。

さー、ますます支離滅裂の感のある「金の斧の物語」ですが、続きはだれかかいてくれるでしゃうか!?(笑)


§ 第29話 §

[971] ハプニング   [ MAY ]
むら山さんの金の斧の続き

四人は仲良く歩いていった。丘の向こうにとろじいとござばぁの住んでいた古い家が小さく見える。もうすぐだ。贈り物はもしかしたら金の斧だろうか!
と思うと急に今までの緊張が溶けていった。都郎と鼓座はもう安心だとはしゃぎだした。
木のうろに隠れてかくれんぼをしたり道端に咲いている花を摘みだした。
映雄と卦夢璃は最初は叱ったが、そのうちまぁいいかとほっとくことにした。
これからの自分達の生活設計を語るのに夢中だったから。

さて丘に登る前に一旦谷に出会います。川の両側はこんもりとした森になっていて、ここに猿飛一家というお猿さんたちが住んでいました。妻の名前はジュリエット、夫の名前はロミオといいました。
二人のあいだにはえっちゃんという女の子がいましたが、先の増水でかわいそうに流されて行方がしれません。
それ以来ジュリエットは泣き暮らしていました。
都郎と鼓座がこの川で石切をして遊んでいるところをたまたまロミオが見つけました。
”なんてかわいい子どもなんだ、親もいないようだ、この二人を連れて帰ったらジュリエットはどんなに喜ぶだろう・・・”
そこでロミオはふたりに、家に来て木の実や栗の実を食わないか、と誘いました。
お腹をすかしていた二人は大喜びでロミオについていきました(良い子のみなさんは決してこんなことをしてはいけませんよ〜だ)
さぁこれからどうなるのでしょうか?
お次はどなた?


§ 第28話 §

[968] 頌春   [ むら山 ]
「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずといえり」と『学問のすゝめ』で人間の自由・平等・権利の尊さを説いた福澤諭吉が作った慶応義塾の三田シティ。そこの出身の人達が何故か人を区別して選り分けることになり、火星移住前のシミュレーション地区を定めるに当たって、クリスマス前だということもあって「そうだ三田(サンダ)がいい。あそこで育てれば牛だって高級ブランドになるんだから・・・」と、かましたシャレが瓢箪から牛ではなくて駒となり、移住を希望する人達の皆が皆、三田めざして苦労することになったのだ。
 さて、話を数百年前に戻そう。映雄と卦夢璃はそれぞれ想いにふけっていながらも、お互いの顔を時々見やっては目を合わせ、わずかに微笑み合うということをくりかえしていた。この期におよんで早く家に帰ることもないのだ。自分たちには、これからずっとずっと永遠に続いていく時間が待っているのだと二人は口にださずとも眼差しで確認しあった。
 夜が明けた。二人の子供、鼓坐と都郎も目を覚ましてキョロキョロしている。四人は昨夜の残りのヤマメの串焼きを黙って食べた。 「さぁ帰りましょう」卦夢璃はそう言うと、子供達のダブダブの着物をたくし上げたり切り裂いたりして丁度よい丈にして身繕いをしてやった。足もかなりしっかりした子供になっていたから四人は山を下りはじめた。道々のところどころには昨日映雄が祈りを込めて供え置いた草の束があった。そのお陰かどうか、こうしてこざばぁは鼓坐になり、とろじぃは都郎になって歩いているのだ。ときおりサササッと黒い陰もついてきている。卦夢璃と映雄は子供が疲れたとみるや、おんぶしたり肩車したりしてやっている。二人は自分たちを父さん母さんと呼ばせるのではなく、映雄そして卦夢璃と名前で呼ばせることにした。それで何の違和感も感じなかった。
 やがて元こざばぁととろじぃの住んでいたこじんまりとした家が見えてきた。もう四人はすっかりうち解けていて、二人の大人は二人の子供に竜神が言っていた素敵な贈り物のことを話しながら家に近づいた。


さ〜て、永いブランクのあとのリレー小説再開であります。私はやっと正月が迎えられます。さてこれから年賀状書きでも・・・たは。もう済んでますよ。
誰が続きを書いてくれるんでしょう。
金の斧はどうなったの?
もしかして贈り物って?


§ 第27話 §

[921] その頃   [ よっち〜 ]
三田シティと姉妹都市である、兵庫県三田市には、最近できた新興住宅地があり、山を切り開いて建てられた住宅群である。
そこには、選ばれた人達が住んでいる、色々な職種の人達だ。お気付きだろうか?
火星移住に選ばれた人達である。地球と同じように色々な人達で構成されている。火星移住シュミレーション地区なのである。
もちろん、映雄と卦夢璃も住んでいる。
TOKYO三田シティのような本部でなく、第二の都市へ行くのも、火星移住の隠された方法でもある。


§ 第26話 §

[920] 火星府は三田。   [ guminoki ]
西暦25XX年、火星政府は日本は古都TOKYOにその出張所を置いた。その頃ようやく火星の緑化に成功した人類は、地球と比べて無際限にある鉱物資源、涼しい住環境、ふたつの月の表情に魅せられてその多くが移住を望んでいたのだった。地球はすでにはげしく気温が上昇し、勢いあまった過激派などは大昔のニホンの有名な作家である宮澤賢治の「グスコーブドリの伝記」を焚書して息巻いていたりしたのだった。
だが、火星のキャパシティにも限度がある。火星殖民政府はその入植、転居の審査機関をてっとりばやく地球に設けたのであった。火星転出を希望する多くの人間がTOKYO三田シティに訪れた。なぜ、三田なのか?実は火星政府の有力者に慶應義塾大学関係者が多いからであった。彼らは古巣で旧交を温めたあと決まって雀荘で一夜を明かし、ほとんど廃人となって早朝の三田シティをさまようのであった。それが火星政府の要人だとは知る由もない...。


§ 第25話 §

[706] 現実的な生活感が出てきますが   [ もみの木 ]
ところでいったい今はいつの季節なのだろう、と思いながら映雄は山の景色を眺めた。
早朝の山の稜線はくっきりとしていて、あの山々、そして山から流れてくる川をなんだか懐かしい気持で眺めた。
ぼくはあの川の川上から流れて来たんだ。
竜神が泡玉の術を使ってとろじいとこざばあを赤ん坊にした頃から、なんだか天軸が狂ったようで季節感がわからなくなってきていた。
一方、卦夢璃ももう目は覚めていたが、まだ横になったままで考えていた。
映雄は何かを思い出したのだろうか。
竜神様の言われる素敵な贈り物とはなんなのだろう。
金の斧はまだ早いと言われているが、そもそも、どうして金の斧なのだろう。
財や幸せの象徴のようなものだからだろうか。それとも、求める心が大切なのだろうか。
私たちは何のために何度も生まれ変わり歩み続けるのだろう。
私と映雄と都郎と鼓坐との縁は?
でも、そんなことを考えている余裕などはなかったのだ。
赤ん坊の二人が目を覚ませば、その世話で一日が暮れるだろう。
さあ、もう起きなければ、と卦夢璃は思った。


§ 第24話 §

[690] 688のつづきです。遅くなりました。  [ むら山 ]
金の斧の物語:卦夢璃の独白

この子達の背中から出たあのモヤは二人の行く末を見せているようだった。速すぎてわからないところが多かったけれど、映雄には全部がはっきりと見えたに違いない。私はそんなものは見えなくたっていい。どうせこれから嫌でも夢に出てくるような気がする。それにしても私は一体誰なんだろう。覚えているのは私もあの竜神の泡に入っていたことだ。観音様がいて、竜神がいて、映雄が斧を持ったまま沈んできた時に、竜神は口にくわえていた金色の斧を私に持たせた。そして私の泡を観音様に渡し、そして映雄と私は観音様の掌に乗せられて浮上し、とろじいの前に降ろされたのだった。
それにしても、沈んでくる映雄は溺れているようには見えなかった。ただびっくりしているだけで、苦しそうではなかったのは何故だろう。蠅を腹に貯めているくらいだから、空気も貯めているのかも知れない。私の泡は水面に出ると同時に消えていったからわからないが、私も水の中で息ができるのだろうか。映雄のことは前からよく知っているような気がする。いやよく知っているのだ。二人で二つの斧を投げて遊ぶ前に、映雄は自分の頭めがけて斧を振りおろしてみろと言った。私はその時ためらうことがなかった。大丈夫とわかっていたのだ。そして映雄がわざと失敗した振りをして頭に少しだけ斧を当てて、刺さっているように見せたのだ。私は映雄のそういう剽軽さがとてもなつかしい気がしたから、少し出ていた血を舐めて上げたのだったが、その血の味さえも何故かしらなつかしいのだった。
竜神は「おまえたちの役目・・・」と言ったけれど、まだ大人になっていない私たちに大切な使命のようなものが与えられているなんて、何だか気の重いことだ。でもいいだろう、私には映雄がいる。魚を捕るのがうまいようだから飢えることはなさそうだ。甘い声で頼めば何だってしてくれるだろうから私たちはうまくやっていけるだろう。
それにしても、ふと気づいたらケムリになって私は竜神にまとわりついていた。何とかしなくてはと思った途端にフワッと浮いていた。夢のようだったが夢ではなかったような・・・それにしてもその後は綿のように疲れてしまって私は意識をうしなった。私のあの術は何に使えるんだろう。それに、あの妖しい影。私を密かに守っている何者かがいるのだろうか。私にはまだ何かの力が備わっているのかも知れない。
でもどうだっていい。とにかく夜が明けたらこの子達を連れて、家に帰ろう。そうすれば何かがはっきりするだろう。竜神は日が暮れる前に帰れ、すてきな贈り物があると言っていたけれど、一晩留守にしたとてなくなるものではない筈だ。とりあえずは、私もこの焼き魚を食べてから鼓坐と都郎を寝かしつけよう。かわいいものだ、もうお腹がくちくなってきているようだ。眼がトロンとなっている。二人は私の子供だ。映雄と私の子供なのだ。

4人の運命はいかに。
それにしても金の斧はどうなったのでしょう??
あとは誰が書いてくれるんでしょう。




§ 第23話 §

[688] 映雄。   [ guminoki ]
[685]の続きです。

映雄がためいきをついたのは、ふたりの一生を一瞬で見たからだけではなかった。
その一生がむなしいものであるからだけでもなかった。
かれは、生まれて初めて大勢の人間がうごめいているその姿を見た。
美しく着飾った女たちを見た。
馬上で弓矢を競う男たちを見た。
同じような黒っぽい服を着て、どでかい人形(ひとがた)に向かって、
うおーとうなる人の群れを見た。
笑ったりひっくり返ったりさかさまになったりした人を見た。
どの人も似ているようで違うと思った。
このたくさんの人はなんじゃろう?と思った。
なんに使うのか?わからぬモノがあふれていた。
それは、本来映雄にとって造作なく扱えるものばかりであったが、
まだそれを見たことのない映雄には、
すべてが恐怖のように感じられ、
またおそろしい快楽のようにも感じられたのだった。
笑っているものばかりではない。
顔色を無くして、しゃがみこみ、うつむき、
おそらくこのまま死んでしまうだろう、
まちはずれの乞食も見た。
わしの知らんものじゃ、と思った。
「これは、なんじゃ?」
聞くともなく声にすると、卦夢璃が答えるともなく云うのだった。
「都(みやこ)というものだわ」



4人の運命はいかに。
それにしても金の斧はどうなったのでしょう??
てなわけで、あとはお願いしま〜す




§ 第22話 §

[685] 送信されたけど3回目の入力です・・・  [ MAY ]
名前って不思議です。
日本では「我こそは〜」とまず名前を名乗る。
アメリカでもまっさきに名前を名乗ってあやしい者ではないことや出身を相手に知らせる。
でもアメリカインディアンやヨーロッパの魔法使いの世界では名前(本名)を知られると力を失うと信じられていてあだなで呼び合う。
どっちにしても名前の持つ力をあらわしている。
猫でも名前をつけたらもう捨てられないしね。

******
都郎と鼓坐は相変わらず一心に魚を食べつづけている。
不思議なことにどんなに食べても魚は減らずにいい匂いを放っている。
そのうち都郎と鼓坐の背中からモヤのようなものが立ち昇り始めた。
モヤはだんだんはっきりした形となり輪郭はぼやけているものの都郎の背中のモヤは若くてりりしい都郎、鼓坐の背中のモヤは愛らしい乙女の鼓坐となった。
モヤの都郎は、今まさに都に上るところだった。
希望に燃え、意気も揚々と都についた都郎だったが、あっというまにお金をすられてしまう。
しかたなく場末の人足小屋で働くが馬車馬のように働いても働いてもいつも人からだまされてお金を巻上げられてしまう。
輝いていた目もだんだん精気を失い、とうとう都郎は故郷に帰りトロじいとなってしまう。
一方鼓坐のモヤは美しい鼓坐となり、庄屋の屋敷で鼓を打っている姿を映し出した。
鼓坐の鼓は有名となり代官の耳にも入る。
賞賛されもてはやされ、だんだんうぬぼれてくる鼓坐。
美しい顔には次第に険が見え、人は鼓坐の鼓の響きに不快な音が混じるのに気付く。
あせる鼓坐。でも原因がわからない。
だんだん人は離れ、それにつれ落ちぶれていく鼓坐。
目にずるい光が宿りふてぶてしいコザばぁになるのはあっという間だった。

モヤはふたりの長い人生を一瞬に凝縮して映雄と卦夢璃に見せると何事もなかったかのように消えてしまった。
都郎と鼓坐と名付けた映雄はふたりの運命を目の当たりにして深いためいきをつくのだった

****
4人の運命はいかに。
それにしても金の斧はどうなったのでしょう??
あとはお願いしま〜す




§ 第21話 §

[682] とりあえず   [ MAY ]
ケムリは卦夢璃と名づけられたとたんに双眸に強い光が宿ったようだった。
日はまさに暮れようとしている。
空一面は紅の夕焼けに染まり、遠くの山の端はくっきりと浮かび上がっている。
映雄と卦夢璃は、夢を見ているように夕焼けを眺めていた。
ヤマメの焼けるいい匂いにふと現実に返ったふたりは、かすかに微笑みあい、焼けた魚を口にした。
横で寝ている都郎と鼓坐もその匂いに目をさましたようだった。
ほしそうに映雄と卦夢璃のそばへハイハイしてきた。
「あんたたち、赤ん坊なのに、こんなものは食べられないよ」と言うのも聞かず、ふたりの赤ん坊は魚を手づかみで食べ始めた。
「なんか変な赤ん坊!」
呆れていると、都郎と鼓坐は急に成長しているようだった。
みるみるうちにもうしっかりした子どもになっていた。
唖然としている映雄と卦夢璃だったが、やっと卦夢璃が言った。
「この二人は泡の中で小さくなったので、泡の効き目がないこの世界ではまた元にもどるのも早いのよ、きっと」
「そうか!でもよかったかもしれない、乳がなかったから赤ん坊のままだったら困るところだった」
二人の困惑と安堵もそっちのけで都郎と鼓坐はむしゃむしゃとすごい食欲でヤマメを食べるのでした。




§ 第20話 §

[671] ハエオ改め映雄の回想そして決意   [ むら山 ]
おいらは一体何者なんだろう。気づいた時は桃の中だった。小蠅が沢山たかっていて、桃の中まで入ってきていたんだ。だからおいらはパチンパチンと蠅を半殺しにしては口の放り込んでたんだ。そしたらいきなり頭の上に短刀だったなぁ。でも自然に手が動いてた。ばぁさんうれしそうだったなぁ。それが、今じゃおいらの腕の中でスヤスヤか・・・。ばあさんは「恩返しウフフ」なんて呟いていたけど、恩返ししなければならないほどのことはしてもらってないが、こんなかわいい顔して眠っているんだから、もう今までの記憶はないんだろうなぁ。おいらがケムリと一緒にこの二人の赤ん坊を育てていくしかないんだな。
ケムリはおいらを蠅の眷属なんて言ってたけど、どうもそうではなさそうだな。蠅使いであることは間違いなさそうだ。こざばあを隠そうと思った途端に蠅を吹きだしていたものなぁ。それにしてもあの蠅どもは、羽が乾いたら戻ってきたからかわいいものよ。おいらが口を開けたらちゃんと入ったからには、おいらの体には胃袋の横に蠅袋があるんだな。この術を使えば、獲物は簡単に取れそうだな。目くらましをして、手づかみができる。おいらどうも道具を扱うのは苦手だけど、手づかみなら大丈夫だ。そうだ、さっそく食べ物が必要だ。日が沈んでしまったし真っ暗になる前に魚でも捕ろう。
ハエオは赤ん坊のこざばあをケムリの横に寝かせてから川の浅瀬に入っていきました。ヤマメがいました。ハエオは四つん這いになると、4本の手足をうまく使って、追い込み、待ち伏せして簡単にヤマメを捕ることができました。どんなにヤマメが敏捷に泳いでも瞬時に先が読めて見切ってしまうのですから、踏んづけたり掴み取ったりハエオにはいとも簡単でした。すぐに10匹ほど捕まえましたから、今度は枯れ枝を拾い集めました。
ハエオは記憶をたどろうとはするのですが、どうしても思い出せません。でも手は自然に動いて、若いクスノキの根元で眠る三人を気遣いながら火を起こし、たき火を燃やし、ぐるりと串刺しのヤマメを差しました。赤ん坊二人はダブダブの、とろじいとこざばあのそれぞれの服にくるまって気持ちよさそうに眠っています。
ハエオは魚が焼けるのを待ってケムリを起こそうと思い、火の番をしながら行く末にも思いを馳せるのでした。
ふたりの赤ん坊はどう呼んだらいいかなぁ。そうだ名前を付けてやろう。
こざばあだったんだから鼓坐がいい。坐って鼓を打つような女になってくれればいい。
とろじいは都郎でいいだろう。都に上って一旗あげる男に育つやも知れん。
なんでおいらは都だ鼓だと知っているんだろう。字まですらすら出てくるぞ?まぁいいか。
鼓坐がはやして都郎が踊ればいい。
おいらはいつのまにかハエオと呼ばれていたんだから映雄としよう。
ケムリはどうしよう。あのあやしい影は何者なんだろう。訳のわからん女だが、夢の続きを見ているようなことばかり言ってるし、何やら竜神と話しを合わせたりもしていたなぁ。どうやらおいら達はどの道切っても切れない仲なんだろう。
ケムリは卦夢璃としよう。さて起こしてみるか・・・
「卦夢璃!」と映雄はもうすっかり家長の威厳をもって揺り動かしました。
ケムリ(卦夢璃)はゆっくりと目を覚ましました。
瞳にたき火の炎が映っています。
呆然としているようにも見えましたが、自分の置かれた状況を徐々に認識するように眼に強い光が戻ってきました。
映雄はケムリ(卦夢璃)の手を取って、彼女の掌に字を書きながら名前の事を話しました。
「いいわ。それでいきましょう」
「私にもいざという時の切り札があるの」と卦夢璃はいいました。
(また話が飛んでるぞ・・・)と映雄は思いましたが、鷹揚に頷きました。
 

さて次は誰が書いてくれるんでしょう?
すてきな贈り物って何?
もう金の斧なんてどうでもいいような!?
誰に何が必要なのか
何を得たら幸せといえるのか
期待できるほどの展開になるのか!




§ 第19話 §

[664] スター・チャイルド   [ guminoki ]
[663]の続きです。

ハエオとケムリはぽかんとして二人の赤ん坊を眺めます。
赤ん坊は元気にふぎゃーと泣き出しました。
思わず抱き上げてあやします。
ハエオはコザばあをかかえています。
「おーよしよし、こざばあ、だまらんかい。なんで赤ん坊なんかになってしもうたんじゃ?」
ケムリはトロじいをかかえています。
「おーよしよし、おまえはほんとにとろじいさん?いまは元気なのに、大きくなったらとろくなるのねえ?」
なかなか泣きやみません。
どうしたらいいのか?ハエオにはわかりません。
ケムリもわかりませんでしたが、
なにか、これはいつか見たことのある風景だと思いました。

「竜神さま、この赤ん坊をどないせいちゅうねん」
ハエオはつぶやきました。
竜神は、空中にゆったりとたゆたいながら4人の様子を眺めておりましたが、唐突に、
「ハエオ、おまえは思い出さんか?」
「は?」
ハエオは首をかしげます。
「ケムリ、おまえは思い出さんか?」
「ええ、なにか覚えがあるけれど、でも、詳しくはわからないわ」
ええ!?ケムリは何を知っているんだろう!?
ハエオは心中びっくりしながらことの展開を見守っておりました。
いや、赤ん坊をあやすのにてんてこ舞いでした。
「そうか...おまえは人の類ではないからの。
 ハエオもそうなんじゃが、おまえは生まれつき記憶力がないと見えるの、
 ふぁっはっはっは...」
「竜神さま、やめてください。赤ん坊が怖がってますます泣き出しますわ!」
なにしろ、竜神の声はでかいのです。
あたりの木々がぴりぴりとふるえています。

「百年前にも、わしはふたりを赤ん坊にしたんじゃがな」
「そう。そうですわね、たしか」
なんだって!?
ハエオだけ、よくわかりません。
「二百年前にも三百年前にも、千年前にもわしはふたりを赤ん坊にしたな」
「ええ...思い出してきました」
「それから、百年後にもふたりを赤ん坊にするんじゃ」
「...」
「二百年後にも三百年後にも千年後にも、ふたりを赤ん坊にするんじゃ」
「...」
「わしは、そのたびに青銅やら白銅やら鉄やらの斧を奴らに与えた。
 いままた、ふたりは、金の斧が欲しいと云うとる。
 いずれ、それを手に入れるじゃろう。
 しかし、それはふたりが次に大きくなったときじゃ。
 そのとき、ふたりが要求するものも決まっとる。
 チタン合金の斧じゃ。
 金と同じように腐食せぬだけでなく硬くて、なおかつ柔軟じゃ」
「...」
「次は放射性アイソトープの斧じゃ。
 巨大なエネルギーを得ることができる」
「...」
「その次は合成されたルビーの斧じゃ。
 その発する光はすべてのものを焼き尽くす」
「...」
「その次もさらにその次もこれは延々と続くのじゃ」
「...」
「思い出したかの」
「...少しだけ...ああ、頭が痛い」
ケムリは目を閉じて眉をひそめています。

「おまえたちはそのすべての場面にいたはずじゃ。
 しかし、覚えておらんの。
 仕方ないのじゃが。
 観音がいい加減じゃからの」
「観音さまは...」
「奴は、混沌と付き合うようになってから少しぼけとる。
 心配はいらんが、そろそろひけどきじゃの。
 ...
 おまえたちの役目をよく思い出してみるがいい。
 このゲームが終わらなければわしは天帝にまみえることは出来んのじゃ。
 それも説明するのは何度目だろう?
 わしはいつもここにいる。
 おまえたちもやるべきことをやれ。
 ...
 もう日が暮れそうじゃの。
 早くうちに帰れ。
 すてきな贈り物があるじゃろう。
 それも百年前と変わらぬ」
そういい終わるか終わらないかのうちに、
竜神はくるりと身をひるがえして川の底にすとん、と沈んでいきました。

赤ん坊はもう泣きやんですやすや眠っているようです。
「竜神は...なにを云うとったんじゃ?」
「竜神は...」
ケムリは赤ん坊をそっと地べたにおろしてしゃがみこみました。
「ああ、気分が悪いの。休ませて」
「ああ、それはかまわん」
一番星が見えます。
「晴れとるの」
ハエオは云いますが、ケムリはそばの若いクスノキの根元に横たわって返事をしません。
ハエオはじっと空を眺めています。
西の空のオレンジ色が小さくなってゆっくりと紫色に変わっていきます。
北極星も見えました。
「晴れとるの」
ハエオはまた、ひとりごちました。




つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?
誰が手に入れるのか?
それどころではないような!?




§ 第18話 §

[663] 竜神の気まぐれ   [ むら山 ]
[659]の続き
おませなケムリは桃色やら紫やら妖しげに色を変えて、くねくねと竜神の立派な髭にまとわりついたりしながらも、逆鱗には注意深く近づかないようにしています。
でも、所詮は子どもですから、竜神の顎の下にある逆鱗に触れてみたくてたまりません。
ハエオはいきなりの自分の行動に我ながらびっくりしているのでした。
(おいらは蠅使いだったのか!?)

何もかも見通している竜神は、(はて、ここはどうしたもんかなぁ)と考えておりました。
(ケムリか・・こやつもこざかしくなりつつあるわい)
(ハエオか・・こやつ子どもながら、もう女にあやつられながら働く大人の男そのものじゃわい)
(こざばあ・・こいつはどうにもならんが、まぁ人生をやり直させて観察するのもおもしろかろうて)
(とろじい・・こいつもこうして遊び心が残ってたせいで、自力で若くなったんだから、もう少し、いやいや、うんと若返らせてみようか)
竜神の目がキラリと光りました。雷、稲光そして豪雨となりました。
竜神の目から隠したつもりのこざばあが、ずぶ濡れになって姿をあらわしました。なにしろ大きい雨粒で蠅がこざばあに張り付いていられずに、ぽろぽろ全部落ちてしまったからです。
そして、あっという間に竜神の口には水晶球が、片手にはとろじい入りの泡玉、もう一方にはこざばあ入りの泡玉、二つの斧は?何と逆鱗に差してまるで蝶ネクタイです。
ケムリは竜神に振り払われてハエオの横に尻餅をついたのですが、何が起きたのかわかりませんでした。
でも、ハエオにはすべてがはっきり見えました。
竜神がにやりと笑ったのも、二つの斧と水晶球ととろじい入り泡玉をお手玉みたいに放り投げてから新しい泡玉をぽかりと口からだすとすばやくこざばあをつまみ上げて中に入れてしまったのもはっきりと見えました。
そしてあざやかにジャグリングしながら今の格好に決めたのです。
ハエオは思わず拍手をしてしまいました。
ケムリも何だかわからないまま拍手に加わりました。
すると竜神は、こざばあの泡玉をはげしく振り始めました。
中のこざばあは、たまったものじゃありませんが、かまわず振り続けます。
途中で止めてはとろじいと見比べています。
とろじいの方も少し振ります。
こざばあの方も又振ります。
つり合いを見ているようです。
二つの手を止めました。
両方の泡玉には、せいぜい歩けるようになったばかりという赤ん坊が目を回しています。
泡を爪でぱちんと割るとハエオとケムリの前に赤ん坊を下ろして、竜神は満足げです。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?
誰が手に入れるのか?
それどころではないような!?




§ 第17話 §

[659] 続き   [ MAY ]
「いいか、明日までにとろじいをつれてこなければお前を食ってやるぞ!」

こんな竜神のおどしも金の斧に目がくらんだござばぁの耳には入るものですか。
なんとかして竜神の口にくわえた金の斧を手に入れたいとばかり思いつめていました。

そこへ息せききってかけつけたハエオとケムリ。
二人は目をギラギラさせて金の斧を見つめているござばぁと泡の中ですっかり若返ってトランポリンをしているとろじいを見て、何があったのかすぐわかりました。
とにかくござばぁを落ち着かせ、とろじいを助けなくてはなりません。
ハエオは非常のときのために体内に蓄えていたハエをぱっと吐き出し、すばやくござばぁの体を包み込んで隠し、ケムリはケムリで竜神のそばへ一陣のケムリとなって近づき、静かなやさしい声で言いました。
「竜神さま、お怒りは無理もないと存じます。ござばぁには私たちもとろじぃもほとほと手を焼いているのでございます。
でも欲の皮はつぱっているものの真底の悪人ではございません。
単純ではありますがこれでなかなか人の好いところもあるのです。
わたしたちのこともよく世話をしてくれました。
どうぞ今回だけはわたくしに免じて許してはいただけませんか」

さぁ竜神はどうするのでしょう
金の斧は一体誰の手に??




§ 第16話 §

[655] 春うらら   [ MAY ]
いきなり現れた竜神にござばあは肝をつぶしヨタヨタと座り込んでしまいました。
でもさすがござばあ、竜神の口にキラリと光る金の斧を目ざとく見つけたのです。
恐さもわすれござばあは叫びました。
「おお竜神さまぁ!その口に持っておいでの金の斧はおらがこの沼に落としたものですだ。
おらのものだ。
どうそこの年寄りを哀れと思って返してくだされ」

竜神は内心呆れてしまいましたが、おくびにも出さずこう言いました。
「そうか、おまえのものだったのか。実は俺が昼ねをしておったらこの斧が俺の頭に当たったのだ。斧を落としたものは食ってやるつもりなのだ。そうかお前だったのか」
これを聞いてござばあは大慌て
「あれあれ竜神さま、うっかりしておりました。その斧はおらの家のものだけど、落としたのはとんまなとろじいでごぜえます。食うのはとろじいでごぜえますだ」
「そのとろじいというのはこれか」
と竜神は泡の中のすっかり若返ったとろじいを見せました。
「あれ〜これはとろじいの若かったときとそっくりだけんど、とろじいはすっかりもうろくしておりますだ、こんな若いいい男ではねぇ。」
泡の中でこのやりとりを聞いていたとろじいは怒りで顔が真っ赤になりましたが、泡のなかでは何を言っても聞こえません。
竜神は続けて言いました。
「そうか、それではとろじいを連れて来い。明日までにつれてこなければ代わりにお前を食ってやるからな。」

さぁ、ござばあととろじいの運命やいかに。




§ 第15話 §

[652] 泡の中、そしてこざばあ到着   [ むら山 ]
ところで、とろじいは「あっ」と言う間もなく竜神に首根っこをつかまれて淵の底にひきずりこまれ、竜神がポカリと口から出した泡の中に入れられたのでしたが、寝ぼけていた時の急展開なので、とても本当のこととは思えず、ずーっと夢のつづきを見ている気分です。
竜神の大きな顔も見えますが、あまり恐くはありません。何だか暖かくていい気持です。ときどき「コチャコチャ、ザッザー」なんて水の流れる音が聞こえたり、「ドクンドクン」というなつかしいような音も聞こえて、遠い遠い遙か昔にこんなところに入っていたような気がしてきました。
泡は柔らかくて弾力がありました。跳んでみるとフワリと弾んで愉快です。とろじいは年甲斐もなくはねたりころんだりピョンピョンコロコロ遊び始めました。
竜神が金ぴかの青銅斧ととろじいの鉄斧をくわえ、やってくるこざばあを待ち受けている時分には、とろじいはすっかり上手に跳ね回ることができるようになって縦に横に斜めにと跳ね回っています。歳もみるみる若くなって、10歳は若返っています。どうやら竜神の泡は、中で跳ね回ると人を若返らせるようです。
こざばあは、沼から流れ出している川の縁にやってきました。
誰もいませんし、鉄の斧も金の斧もありません。不安になったこざばあは、呼んでみるしかありません。
「お〜い」「もしも〜し」「誰か〜」「とーとろじぃ〜」「とろじい〜」なんて呼ばわっています。
そこで、竜神は奈落からせり上がるように厳かに鳴り物入りで水面に現れて来ました。
観音様が出て来てくれる筈だったのに、とんでもないものが現れたものですから、びっくり仰天のこざばあは腰が抜けて尻餅をついたなりで口をあんぐりしています。
稲妻ピカピカ雷ゴロゴロ、でも竜神は口の両端に小旗みたいに斧をくわえ、片手に水晶球を持ち、片手に今やトランポリントランス状態の若返りとろじい入りの泡を持って、こざばあを見下ろして黙っています。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第14話 §

[650] ハエオとケムリ沼へ行く   [ よっち〜 ]
649のつづき

幾つかの草を並べると、ハエオは山に向かって歩き始めました。
ケムリはもう間に合わないよと言うが、ハエオは山へ向かっています。
独りになっても仕方ないし淋しいのでハエオの後に続きました。

時折、ハエオの目の端にササッと動くものがあり、何か付いてきている様です。
ハエオは薄々感じていました。
ケムリが囲炉裏に近づいた時にいた、何かが付いてきているようです。

ハエオとケムリは山を登り始めました。
二人で手を引いたり、押したりしながら、キツイ山道を登っていきます。
木々の間から、山に沈みかけた赤い太陽が見て取れます。
ハエオと夕日の間にケムリが居ると、夕日もいつもより赤く燃えている様です。
ササッ、ササッとまだ何かは監視するようで見守るような感じで付いてきている様です。
道端にある、お地蔵さんの所で二人は休憩をする事にしました。
パチン・パチン・・相変わらずやっているハエオ。
山の中では虫もいっぱいいるようです。
またその間にも、草を摘んでまた並べ始めました。
ケムリ「おまじないをしても無駄よ。」
ハエオ「おまじない??おまじないじゃない。二人の事を祈ってる」
ケムリ「同じじゃないのよ!」
と話していると、風が吹いてきました。
昼と夜の支配に変わり目です。
太陽はまだ少し見えています。
ハエオは風を見て感じ、「急がなきゃ」と立ち上がりました。
暗くなってきたので、ケムリはハエオの手をきつく握り自分のほうへ引き寄せました。
ハエオ「怖いのか?」
ケムリ「怖くないよ、ハエオがコケないようにしてるの」
ハエオはなんだコイツ?
ますますケムリの事が分からない・・・・
山道の先に沼が見えてきました。
沼は太陽を反射し、赤く輝いています。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第13話 §

[649] しじみ   [ guminoki ]
[646] の続きです。

ちょうは、はばたいて花から花へと蜜を集めなければなりませんので、
見た目には優雅に見えますが、なかなかこれで忙しいんです。
トンボは、ヤゴのとき水中にいて、成虫すると空を飛びます。
人間は、生まれてから死ぬまで地面を這いまわることしか出来ません。
テクノロジーを使って飛んだり潜ったりすることは出来ますが、自力では出来ないのです。
出来ないのですが、少々の気温や気候の変化はなんとも思わない鈍感さを兼ね備えているので、
いまや地球表面は人間だらけになってしまっています。
それはそれとして、トンボはホバリングすることが出来ますから、ちょうのように、飛び回らなくても大丈夫。
いつまでも気がすむまで空中にぽかりん、としていて、気が向いたとき気が向いた方向へ飛んでいきます。
ヤゴの時代に人生の大半を終わっていますから、トンボはもう老年です。
ちょうも同じく、小さい頃はキャベツにしがみついてますが、蜂の子に寄生されたり、農薬まかれたりと、けっこうつらい幼少時代を送っていますので、トンボと比べて、残りの人生を謳歌するのに忙しくなるわけです。

ケムリは野原で花摘みに夢中になりながら、
そんなことをハエオに教えてあげました。
「そうか。ちょうはかわいそうやな。そんなら、こうやってみとるんがいちばんええな」
「あなた鈍いから、ちょうの羽持ったりしてはだめよ。きっと、こなごなにしちまうんだから」
「羽のうごきのひとつひとつ、見えるんやけどな」
「それ、教えてちょうだいよ。あなたが追っかけて、私が捕まえるってのがいいかもね」
ケムリは摘んだ花を輪っかにしています。
輪っかを頭にのっけて
「どう?」
とか振り返る姿はなかなかかわいらしいけれども、月の眷属というほどお上品にも見えません。
赤いほっぺが田舎娘らしさを演出しています。
ハエオは相変わらずばちんばちんとやってましたが、時折、草を摘んで道端に置きます。
「何やってるの?」
「とろじいとこざばあの無事を祈ってる」
「あんな人たちどうでもいいじゃないのさ」
「けど、もう他人じゃないしね」
「あたし夢を見たわよ」
「どんな夢?」
「あの二人が川へ行ってふたりとも溺れてしまう夢」
ほんとは、ケムリはそんな夢は見ていませんでした。
「うそやろ」
「ほんとよ」
「助けに行かなくちゃ」
「いっても無駄よ」
「けど、行かなくちゃ」
日はかなり傾いて、雲を赤く染め始めていました。


つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第12話 §

[646] ちょういそがしい?とんぼひま?   [ むら山 ]
竜神は水晶球に映るこざばあの様子を見ていて呟きました。
(何やら嬉しそうだなこのばあさん。じいさんのことを心配しているのではなさそうだな。わしがくわえている青銅の斧を金の斧とでも間違えているんじゃないかいなぁ?緑青が吹く前は金ぴかに光るからのぉ。昔は青銅の斧の代わりに強い鉄の斧を渡してやったものだが、今度は鉄の代わりに金を欲しがるのかのぉ?)
竜神はそこで目をきらりと光らせると、ついと水面に出て、ハエオとケムリが遊んだままほったらかしにしていった鉄の斧を拾い上げました。
又、淵の川底にもぐると竜神は鉄の斧と金ぴかの青銅の斧を口の両端にくわえ、右手に水晶球、左手にとろじい入りの泡玉を持って、こざばあがやって来るのを待っているのです。
竜神は水晶球を持って猛り狂う様が格好よいのに、この格好はどうひいき目に見ても奇妙な図で、しかも竜神も又何やら嬉しそうにしているのでした。
そうこうしているうちにこざばあが川の縁にやってきました。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第11話 §

[638] 忙中閑あり・・・   [ むら山豊 ]
「ハエオ。とろじいはどうしたんじゃ?」とこざばあは聞きました。
ハエオは又、パチン、パチンと蠅を捕っては食べていましたが、口ごもりながら答えました。
「川の底に光るものが見えるから、こざばあへ土産に取ってくるって言って潜ったきりなんじゃ・・・」
「おーそうか金の斧を見つけたんじゃな?」と言うなり、こざばあは近頃物騒になった山へそそくさと向いました。
物騒になったとて、とろじいもこざばあも盗られるものなぞありません。山賊にでくわしても腹いせに一発しばかれる程度のことですが、金の斧を持ち帰るにはどうするかと、こざばあはまるでもう金の斧を手に入れたように先の事を思案しながら山に急ぎます。
 
 一方、川の底では竜神が大きな泡を造ってとろじいをそこに入れ、金の斧を爪楊枝がわりに口にくわえています。
右の目でとろじいを見、左の目で手に持つ水晶玉に映るこざばあを観ているのでした。

 家では、こざばあがいなくなるとケムリと名付けられたむすめはハエオ相手に又自信たっぷりになりました。
「おいらは蠅を食べるのが好きなのに何で蠅の眷属なんじゃ?」とハエオが聞きますと
「あなたは選ばれた者なのよ。蠅の未来のために、危険を見切ることのできないどんくさい蠅を陶太する役割を担っているの」と説明しました。
「ケムリ。じゃぁさっきのは何者じゃ?」
「あなたには見えたの?あれは、わたしにもわからないの。火が燃えていると、時々私の体から何かが現れる気配を感じるの。きっとわたしが大人になればわかるんだわ」
ハエオは何だか、すっかりケムリの言う事を本気にしてしまいそうになりながら、(変だぞ)パチン(ほんとかな)パチンと蠅を捕りながら考えています。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 番外編 §

[637] 登場人物のプロフィール   [ もみの木 ]
ぐみのきさん、この掲示板ではお久しぶりです。
私は雰囲気を壊しそうなので、リレー小説は書きませんが、私自身も読みやすいように登場人物を整理してみました。(大分、デシャバリ)

とろじい
態度がとろいので、こざばあからこう呼ばれている。
とろじいが落とした斧が頭にあったたと思った竜神はとろじいを連れ去った。
今は、行方不明中。

こざばあ
こざかしいので、とろじいからこう呼ばれている。

観音様
とろじいが昔、斧を沼池に落としたとき、金の斧と銀の斧を持って沼から出てくる。
その後、ハエオが斧と一緒に落ちた時は、観音様は金の斧を持ったなぞの娘も一緒に連れて出てきた。

蝿取りキッド(ハエオともいう)
こざばあが川に洗濯に行ったとき流れてきた桃の中にいた。
特技:真剣白刃取り、飛んでいるハエを半殺しにして食べる。

なぞの娘(こざばあにケムリと名づけられる)
蝿取りキッドが斧をかついだまま沼に落ちた時、このなぞの娘も一緒に観音様が連れて現われた。
自称、月の眷族だと言う。ハエオのことはハエの眷属だと言う。

竜神
川の淵の深いところに住んでいる。観音様とは友達。
ハエオとなぞの娘が遊んでいる時、金の斧を落とし、竜神の頭にあたった。
水晶球を持っていて、岸の様子などを見ている。




§ 第10話 §

[636] [632] の続きです。   [ guminoki ]
とろばあは再び思案にふけっておりましたが、
やがて、ムスメとハエオがそろって帰ってまいりました。
とろばあは、きょとんとして、
「おまえだれじゃ」
「私は...誰かしら」
なぜか?ムスメは先ほどまでの自信たっぷりの表情が消えております。
「とろじいが、川でひろったんだよ」
とハエオが答えます。
「自分が誰だかわからんのなら、なんになってもいいわけじゃな。
 そんなら、おまいはこれから、ケムリじゃ。
 早速、晩の支度を手伝え」
ケムリが一歩、うちに入ると、囲炉裏の燃え上がっているのが見えます。
「火だわ」
「おお、うちが焼けてしまう!灰をかけろ!」
とろばあは、あわてて駆け上がり、囲炉裏をかき回します。
「おまいも手伝わんかい!」
ハエオも手伝います。
しかし、ケムリの姿に感応するように、火はますます強く燃え立つのでした。
火の粉が天井に舞い上がっていまにも火がつきそうです。
ケムリはじっと炎を見つめておりましたが、
その瞳もまた一際妖しく輝いておりました。
ハエオは、おや?と思ってケムリの様子を見ておりましたが、
そのとき、なにかがすばやく部屋に入ってきたのを見逃しませんでした。
それは、炎の向こうにゆらゆら揺れていてよく見えません。
「誰じゃ!」
ハエオが叫んだ瞬間、しかしその妖しいものはすぅと姿を消し、
同時に囲炉裏の火も落ち着いたのでした。
「やれやれ」
こざばあは、やっと一息ついてふと、思い出したように、
「おや、そいで、とろじいはどしたのじゃ?斧は?金の斧は?」
とつぶやきました。


つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第9話 §

[635] [630] の続きです。   [ guminoki ]
「おまえかー!わしの追憶を邪魔したのは!」
と雷のようなごろごろする音が世界中に響き渡ったかと、見る間に空は黒雲に覆われ、巻き起こる強風と滝のような雨です。竜神さんは、ほんとにお怒りのご様子。
とろじいは、相変わらず状況がよくわかっておりません。
ぽかんとしておりますと、竜神のからだが、風のようにうねって、ひとしきり天高く上ったかと思いますと、次の瞬間にはすとん、と水中に姿を消してしまいました。
すると、ウソのように雲は晴れ風はやみ、もとのおだやかなお天気となったのでした。
ハエオと娘は目を見開いてびっくりしておりましたが、ふと気づくと、とろじいがおりません。
「じいさんは、どうしたの?」
と娘が尋ねますと、
「竜が連れてったのさ」
と答えました。
ハエオは、一部始終を見ておりましたが、娘には竜の動きは速すぎて見えなかったのです。
「行きましょうか?」
「どこに?」
ハエオは娘の云うことがよくわかりません。
「あなたのうちに決まってるでしょ」
「あ?」
「うち、あるんでしょ?」
「あるよ。こざばあってばあさんがいる」
「知ってるわ。夢で見たもの」
「なんでも夢で見るんだね」
「なんでも夢に見るの」
「すごいね」
「すごかないわ。当たり前のことだわ」
「おれも夢に出てきたんだな」
「あなたは、ハエの眷属なの。ゆえあっていまは人間になってるのだわ」
「ハエ?」
「なんでもよく見えるでしょ?」
「見えるね」
「でも、どんくさいとこ、あるでしょ」
「...あるね」
ハエオは、この女、やなやつだなあ、と思いました。
「ハエは水平には飛べるけど、垂直方向は飛べないの。どんくさいんだよ」
ほんと、やなやつだなあ、とハエオは思いました。
「で、あんたは?」
「私は月の眷属なの」
「え?」
「お迎えがくるまで地上にいなければいけないの」
このムスメ、狂ってるか、想像力が暴走してるか、どっちかだな、とハエオは思いました。
注意するにこしたことはない、と思いました。
「とろじいは?」
「ほっときましょう」
ふたりは、斧のことなど忘れてしまっておりました。


つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第8話 §

[632] 一方 こざばあ   [ よっち〜 ]
は、どうして金の斧を手に入れるか思案しておりました。
鉄の斧が金の斧になると言う事は・・
このナタもまた金のナタになるやも知れん。
----☆!!
ひらめきました。そうじゃそうじゃ、なんでもかんでも掘り込めば
金に変わるのじゃ!!うひっひっひっひ〜

囲炉裏の前で考えに没頭していたこざばあ
しかし、肝心な事に気がつきました。
質素な暮らしなので放り込める物があまり無いのです。
うーーむ、困ったのう・・・
考えている内にこざばあは囲炉裏の暖かさで眠ってしまいました。
ぱちん ぱちん     ぱちん
ハッ!!と気がついたこざばあ。
いかん!とろじいが帰ってきたと思いましたが
どうも音のする方向が違います。
囲炉裏の木が弾ける音でした。
こざばあは安心しました。
一刻程眠っていたようです。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第7話 §

[630] どなたか続きを書いていたらごめんなさい。早い者勝ち物書き競争になっていく?  [ むら山 ]
女は子供の頃から、自分が気に入った相手の注意を引くときに、そういう物言いをするということを
ハエオは知りません。
「だれだだれだ?いったいだれなんだ?おいらはおまえをしらないぞ」ととうとう口にだして言いました。
娘はにっこりして、
「私の夢の中に出てきたわ」といいました。
「へー、それでおいら夢の中で何をしてた?」
「いろいろ一緒にあそんだのよ」などと言います。
しゃべっている内にうち解けてきて、ハエオに娘が金の斧を振りおろす。するとハエオは見切っているのに、わざと白刃取りが遅れたふりをして頭にささったりして、娘が
「大丈夫?」
てなことを言いいつつ頭を舐めてあげたりして、
「おいらまだこどもだけど大丈夫」
なんて言ったりして、すっかり仲良しになった二人は斧投げ遊びを始めました。

沼から流れ出している川の岸辺に線を引きました。そこから20歩後戻りして又線を引き、岸辺の線めがけて投げるのです。近い方が勝ちです。遠く投げすぎたら川に斧が落ちてしまいます。ハラハラがなければ遊びはあまりおもしろくないものだということを娘はよく知っておりました。斧を交換したり色んな投げ方をして遊んでいるうちに、お互いの性格も解ってきました。ハエオは動く物は完璧に見切ることができるのに自分で、動かすとなると不器用なのです。しかも臆病でいつも線の手前で落ちてしまいます。娘は大胆で無茶。ほとんどいつも線を越えて川縁まで投げてしまいます。ハエオは斧が娘の手からも自分の手からも離れた途端に、
「短い」
「長い」
「勝った」
「負けた」と見切るのでした。
そうして楽しんでいるうちにハエオが
「あ、むちゃくちゃ長すぎる」と叫んだと同時に金の斧が川にどぼんと落ちてしまいました。

淵の底でで思い出にひたっていた龍神はごつんと頭に衝撃を感じました。せっかくの気分を害された龍神は川の上に身を躍らせて
「オノレ誰だ!わしの追憶の邪魔をしたのはー」と大音声をひびきわたらせました。
娘とハエオは震えながら顔を見合わせて、二人同時に向こうでねむりこけているとろじいを指差しました。
とろじいは何かすごく早い乗り物を運転している夢なぞみておりましたが、龍神の大音声に驚いて目を覚ましておきあがりきょとんとしています。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第6話 §

[629] さあて、よく煮えたようですね?   [ guminoki ]
「安上がりとはいえ、無駄飯食いの蝿とり男と器量よしの娘ごなら、こりゃ、娘をとるに限るわい。ばあさんも娘がおったらええのお、とか云うとったなあ。しかし、あの蝿とり男も大きゅうなったらどんなになるかわからん。せっかく川で拾うたんも何かの縁じゃ。見捨てるわけにはいかんのう。しかし、あれはなんじゃ!?娘の手にあるのはなんじゃ。金の斧じゃ。金の斧があればばあさんが喜ぶ。ほんとの金じゃろうか?ただの金メッキじゃないかしらん?ちょっとかじってみ、って云うてみようか。でも観音様はお怒りになるかもしれん。観音様云うたかて、わしゃいままでに観音様に助けてもろうた覚えはないわい。なんでこんなところに出てくるんか?余計なお世話っちゅうのじゃ。神さま仏さま云うたかてあんなもの鰯の頭と同じじゃ。鰯の頭のほうがまだ喰えるだけましじゃい。どちらもこちらも、なにをえらそうにわしに話しかけとるんじゃろうか?よし、ここはいっぱつ観音さんをびっくらさしてやろうかい。けど、ほんとの観音さんだったらどうしよう!?素直に答えて蝿とり男か娘だけでも連れて帰るか。ばあさん喜ぶじゃろから娘にするかいな」

とろじいは、名前のとおり、いつまでも答えを出せないでぽかんと考えこんでおりました。考えると眠くなるたちの人だったので、やがてうとうと夢うつつの時間です。
観音さまは「おやまあ、状況をわきまえない人間もいることだね。いずれにしろ、わしゃ、子どもはいらん。おまえら岸にお上がり。どこでも好きなところへ行っていいよ。さいなら」
子ども二人を岸に残して観音さまは天へと昇っていきました。川の竜神に用があって訪ねてきた帰り道だったのです。

川の淵の深いところにだるそうにからだをねじまげて、観音さまを見送っておりましたが、「観音さんもヒマじゃのう」とか思っていました。岸辺でうつらうつらしているとろじいを水晶球に眺めながら、「こんな奴、昔おったわい。おったというか、いつもこんな奴ばっかりじゃった。人間は変わらんもんじゃのう」とか思っていました。「そういえば、あのじいさんのときゃ、まだ、人の類が金属の精錬を覚えたばかりの頃じゃった。青銅の鏃が川に落ちてきたんじゃった。あれも、とろじいじゃったか?そうだ...とろじいとか云うとった。こざばあとか云うとった。あいつらには、結局鉄の鏃を渡したんじゃったかのう?観音さんなら覚えとるかもしれん。いやいや、あいつは記憶力ないからの。覚えとらんじゃろうのう。」

川の淵深くで古い思い出にふける竜神と、岸辺に居眠りのとろじい。蝿とり男となぞの娘。とろじいの斧と金の斧。
天高くさっきのこともすでに忘れて大声で歌いながら空中散歩の観音さん。

蝿とり男はひまをもてあまして、ばちんばちんとやっておりました。
とそのとき、蝿男の様子を見ていた娘が口を開きました。
「わたし、あなたのこと知ってるわ」
え?振り向いたハエオ。
おれは、知らないぞ?だれだだれだだれだ!?おまえはいったいだれなんだ!なんでおれを知っているんだ!?
ハエオは高まる動悸を抑えることが出来ませんでした。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第5話 §

[628] どぼん ぶくぶく   [ むら山 ]
斧を持っていたものですから、重しになってぶくぶく沈んでいきます。溺れる者は藁をも掴むと申します。必死の時には握っているものをさらにきつく握るばかりです。見ているとろじいはもちろん金槌です。こどもも心配なら、愛用の斧も心配でオーノーのこまちちゃう!?なんて駄洒落を言う暇はありません。
観音様ー観音様ー助けて下さい・・・今回はあかんのん?なんて思わず言ってしまいますと、観音様が二人の子供を抱きかかえて現れました。
とろじいの連れてきた蠅取りキッドはちゃんととろじいの斧を持っています。
もう一人のこどもはどうやら女の子で金の斧を持っています。
観音様はとろじいにお尋ねになりました。
「おまえのこどもはどちらかな?」


つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第4話 §

[627] ぱちん ぱちん ぱちん   [ よっち ]
子供の手の音の間隔が段々空いていき、やがて子供は眠ってしまいました。
とろじいもこざばあも、年をとっているので夜も寝るのは早いです。
ぱちん ぱちん・・子供の手の音で目覚めた二人は質素な小食を済ませました。
こざばあは、金の斧を手に入れる方法を考えるために、とろじいに子供を山に連れて行かせました。

子供にとって、山はきつく、またとろじいも背負うにはきついので、ゆっくりと登りました。
沼の近くで、薪を集めていると、子供が斧をかついでいました。まさに「マサカリかついだ金太郎」じゃなととろじいは微笑ましくて幸せな気分でした。
ふと目を離したときでした、子供が沼に落ちてしまいました。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。
さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第3話 §

[625] その日の夕方   [ むら山 ]
こざばあがこどもを連れて家に帰りますと、とろじいも山からちょうど帰ってきて、話を聞くとたいそう喜びました。とろじいは、さっそく愛用の斧をこどもの脳天めがけて振りおろしました。エイッと真剣白刃取りの妙技をまたまた見せてくれるこどもでありました。そればかりではありません。飛んでる蠅をぱちん、ぱちんと白刃取りの要領でとるのです。それもびちゃっと潰してしまうのではなくて、半殺しにして手のひらを開き、自分の口にぽとり、もぐもぐごくんとやるのです。これにはこざばあもとろじいも思わず拍手喝采して喜びました。なにせ食費がかからないのです。ところでこざばあはどうやって金の斧を手に入れようかと考えるのですが、なにしろ連れてきたこどもの蠅とりぱちんが五月蠅くて集中できないのです。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。

さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第2話 §

[621] その次の日   [ よっち〜 ]
長い時間 思案しても、思いつかないので
とろじいは、山にしばかれに(最近治安が悪い)、こざばあは、川に洗濯へ出かけました。
すると、川上から大きな桃が流れてきました。
ござばあは、腹を空かしていたので、その場で食べようと思い。護身用の短刀で真っ二つにエイヤ!!と切りつけました。
しゃきーーーーん。
鋼のいい響きです。
二つに割れた桃のなかから、なんと、真剣白羽取りをしている子供が出てきました。
びっくりして、ひっくり返ってしまったが取り敢えず、連れて返ることにした(しめしめ、恩返しが。。うひひひ)


つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。

さて、金の斧は手に入れられるのか?




§ 第1話 §

[620] 思いつき童話ギャグ   [ むら山 ]
 昔、とろいおじいさんと、こざかしいおばあさんがありました。お互いにとろじい、こざばあと呼び合っていました。そんな夫婦でも何とか生きながらえて歳を重ねておりました。ある日、とろじいが冬支度の薪を得ようと森に行ったときの話です。森の奥に沼池があり、そのほとりで薪によさそうな木がありましたから斧を打ち込んでいるときに、持った柄を汗で滑らせてしまいました。斧はねらいを外れて大きくはじけ飛び、沼に落ちてしまいました。(中略)金の斧と鉄の斧を持った観音様が現れて、「おまえが落としたのはどちらの斧だ」とお聞きになりました。とろじいは、観音様でもそんなことが判らないのかなと思いましたが、「へぇ。鉄の斧です」と答えました。観音様は「おまえは金の斧が欲しくないのか」とまた聞きました。とろじいは「使い慣れた自分の斧でねぇと木は倒せねぇ」「それに金の斧なんて使い物になる筈もねぇ」とプリプリして答えました。観音様は「なるほど、そりゃもっともだ」とおっしゃって、とろじいの使い慣れた鉄の斧を返してくれました。とろじいは観音さまに道理を教えてやったとうれしくなりました。これはこれで、めでたしめでたし。
さて日が暮れてとろじいは家に帰ると、今日あったことを、こざばあに話して聞かせました。こざばぁは、何で金の斧をせしめてこなかったのだと歯ぎしりする思いでしたが、オーノー。オーマイガッドなどとは口走らずに黙って聞きました。観音さまが持っている金の斧を、どうやって手に入れるか長い時間をかけて思案しました。

つづきは誰が書いてくれるんでしょう。
待ってます。


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