dialogos

§2004.5.22§




「きみは海藻をすこし、髪にまつわらせて、ぼくのところに来た。
風のにおいといっしょに」
彼は、こんなふうに説明した。
「このフレーズはぼくがいつか、港町で会うはずの女のために書いたんだ。
でも女はまだ、ぼくたちが出会うことになるのを知らない」
「では、どうしてきみには、会うことがわかるのか」
レゴロがたずねた。
「だって、ぼくは少々、予言者でもあるのだもの。
いや、きっちりそういうことではないけれど」
「それじゃ、どういうんだ?」
「なんでも、あんまり強く想像するものだから、
ほんとうに、そういうふうになってしまうのかな」


アントニオ・タブッキ「逆さまゲーム」


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