「ママ、小鳥って、ジッと聞いていると、お話していること、わかるね。 だって、鳴く声に調子があるじゃない」 なにかと思えば、薫はこんなことを言いだすからたまげる。 今朝は、塀の上に、この中庭の常連であるハイガシラシュウダンハタオリがやってきている。 頭が灰色でスズメほどの大きさである。 「でも...、少しだけね。ぜんぶわかったらいいのに」 薫はいかにも残念そうにため息まじりに首を振る。