水の歴史

§2002.5.18§




ところで、技術の進歩・発達は、目的に到達するまでの時間の短縮をその指標とするといえるだろう。交通機関の場合を考えればいい。東京から大阪へ行く時間が短くなること、それが技術の発達ということである。それゆえ、技術の究極的な発達とは、目的の表象が同時に目的の達成であるような経過時間の無化の実現を意味することになる。このとき技術は、まさしく呪術に変成するともいえよう。三木清は『構想力の論理』(1946年)のなかでいみじくも「呪術は技術の神話的形態である」と書いている。


谷川 渥「形象と時間」


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