山林はざわめきゆれももかかえの大木の穴という穴に 鼻に似たる口に似たる耳に似たる枡形に似たる 杯に似たる臼に似たるふかき窪みに似たるあさき窪みに似たる 風はたぎつ水の音矢走る音叱する音いき吸う音叫ぶ音 声あげてなく音くぐもれる音遠ほえる音 前なるものはふうと唱えあとなるものはごうと唱える 冷風はさやかに和し台風は大きく鳴りひびく どよもす風が吹きすぎたあとはあらゆる穴がひそやかとなる みたまえ樹々は調々とゆらぎ 大木は刀々としてそよぐを