大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003 見学日記

2003年8月18日(月曜日) 注:作品タイトルの前の数字は、公式ガイドブック記載の通し番号です。
(添番は、記述の都合上このページの作者が付けたものです。)

■松之山(昨日よりつづき)


朝、あいかわらずグロッキーな気分なのでゆっくり起きて出かける。
今日は、またちがうとこで泊まる予定なのでチェックアウトします。
松之山を離れる前に朝のコーヒーも兼ねて、喫茶店に入ります。
「亜土梨絵(アトリエ)」という。
名前は恥かしいが、しゃれた喫茶店。
ど真ん中にどん、とグランドピアノが置かれて、部屋の一面は大小さまざまのオーディオ機器がずらりと並んで、ついでにCD・レコードもずらりと並んでいる。クラシックが中心。巨大なスピーカーはJBL。
なんでもここらの芸術家のたまり場みたいなとこ、らしいですね。
おみやげ屋さんの2階です。
本を一冊買った。

今日は中里へ向かいます。
バスで十日町を経由して中里ユーモールへ。
ユーモールは地元のショッピングセンターみたいなとこですが。
そっからさらに清津峡ってとこに向かいます。
ユーモールでお昼ご飯、カレーライス食べた。
咳が止まらないので龍角散なぞ買ってみる。
ときどき飲んでみるがすーとして効いたような気分になる。
なるけれども、根本的な解決になっていない、という気もする。
それでも一時的な気休めにときどき龍角散をこさじですくって飲んでみる。
清津峡へはタクシーを使いました。
途中、青木野枝さんの作品があります。



■中里

[104] "LIKE SWIMMING" 青木野枝

旧高道山小学校校庭の全景です。
今日も雨。
この校庭に点在するジャングルジムみたいな鉄のオブジェが作品です。
「鉄で世界を作ってみよう」ってサブタイトル?です。
地元の子どもたちとのワークショップで出来た作品らしいので、標識には子どもたちの名前もクレジットされています。

雨で足元ぬかるんでるのであんましゆっくり見ませんでした。
でもなかなか楽しげな作品でした。
右は校舎?体育館かな?



そいでもって清津峡温泉着。

これは温泉入口の駐車場の一角。
はあ?ってな写真ですが、ほかにわかりやすい写真ないのでとりあえず。

これは3年前に利用した宿、「渓山荘」です。
民宿ですが、勝手がわかってるのでまた使おうと思ったら、
「いま事情があってやってないんですよねえ。お向かいの村山さんに行ってみてもらえませんか?」
って云われた。なんだろう?
おっとりした女将(おかみ)さんはあいかわらず。

で、ほぼお向かいの旅館「村山荘」
この写真、看板は見えるけど、玄関は写ってません。
玄関は、この写真の左のほう。
ちゃきちゃきしたかわいらしい女将(おかみ)さんが出迎えてくれます。



でもって作品もなんですが、清津峡トンネル行ってみます。
3年前はここに作品があったんでしたが、今回はありません。
ただの観光用のトンネルです。
全長750メートルのあいだに4ヶ所の見晴所があります。
柱状節理の渓谷自体も楽しいけれどトンネルも楽しいんだ〜。


温泉街を抜けてトンネル入口へ向かいます。
途中にハイキングコースの入口もあります。
トンネルは、この清流に沿ってうねうね進みます。


トンネル入口と案内板。


こんなとこをてくてく歩いていきます。

がおー!

ツキノワグマがいます。
もちろん剥製です。

どんどん歩いていきますと、
こんな感じで展望所があります。

剥製標本がたくさんあります。
ちょっとした自然科学館です。
子どもたちは走りまわって遊んでます。

こんな展示パネルがあちこちに。

いちばん奥、第4展望所からの眺め。
広角レンズないと写しきれません。
清流沿いに古びた歩道が見えるのですが、危険なので通行禁止になっています。





で、帰ってきました。
犬の散歩の地元の人です。



温泉街を通り抜けて少し行くと清津の古道と云われるトンネルがあります。
作品がある。



[102] 「トンネル」ソフィー・リステルフーパー

古道を遠望します。
ところでね、この写真のほぼ真ん中右寄り、清流直上の岩ですけれどね、
「人面岩」と呼ばれてるそうですよ?
この写真ではちょっとわかりにくいんだけれど、実際の風景を目にすると、
「あ、人の顔だ」って思いますね。

近寄ってきました。
左が新道、右が古道です。

古道入口と出口。
どっちが入口でどっちが出口かはともかく。

中は真っ暗です。
ただでさえ薄暗いのに、天気も悪い。
このトンネルを歩いていると、どこぞに設置されたスピーカーから人の話し声が聴こえてきます。
たたずんでしばし、耳を傾ける。

これ、ひとりだとちょっとこわいですね。不気味。

どんな音声が流れていたかというと、この解説から想像してください。
写真はでっかくしても読めません。あいすいません。

確かに私はイメージを作品にします。しかしここ清津峡では、空間についての素晴らしい言葉をここにやって来る人達に聞かせたいと強く感じたのです。
「空間はわれわれを専有する。われわれは目でみることができる範囲の空間しか所有しない。しかし空間はわれわれを恐れさせる。怖がらせる。われわれを呼び寄せる。追い払う。」(*)
この春、中里村の住民の方々はこの文章を読み、解釈してくださいました。
その様子は、私達流の「お花見」のようでした。
          ソフィー・リステルフーパー
(*)19世紀にサラエヴォの渓谷で書かれた、メジャー・セルモヴィッチ「ダルヴィーシュと死」より抜粋

私達流の「お花見」のようでした、というのがね、はてな?って思わせますね。わはは。
上の引用文みたいなの、地元の人がしゃべったのが流れていた。
空間に関するさまざまな断片。


で、作品はおしまい。

でもって、トンネルをぬけてももいっこトンネルがあります。
ここも通り抜けてぐんぐん歩いていきます。

清津川に沿ってがんがん降りていきます。
山奥ですが、

すぐに人家も見えてきます。
徒歩で20分くらいでしょうか?
国道353から清津峡温泉街へ向かう分かれ道のあたりです。万年橋。
お土産やさんもいくつかあります。
国道353に入って少し下るとすぐ、ラピーヌ雪街道というお土産やさん、お食事処があります。
入口は、地元の農家からやってきた野菜がわんさかとつまれてます。

いろいろあるんですけれどね、白いお茄子!
なんだこりゃ?ひょろひょろして熟れきってない茄子は白いんだったろうか?
それともアルビノ!?とかいろいろ思いました。
野菜はねえ、安いねえ...。しかもうまそうだねえ...。
買って帰るわけにはいかんかったですが...。

歩きくたびれたのでひと休みします。
あいかわらず風邪気味不調のため、昼まっからアルコールはひかえました、あたしゃ。でアイコ。
でも写真の左側には徳利が見えるね(笑)
だーれもいなかったので、突き出し、サーヴィスしてくれた。
なかなか、うまかったよ。
なんかの煮物だったけどね。なんだったかなー?

ここラピーヌ雪街道は、第3セクター運営なんだそうです。
トップはこちら。中里村のHPです。
で、みやげものとかひととおりなんでもそろってるので物色するに便利。
で、そばとか漬物、日本酒とかきのこ汁缶詰とか、ひとかかえレジへ抱えていって宅急便で送った。
きのこ汁缶詰は当たりだったね。また機会があったら買う。

お店の人がひとしきりお酒の講釈してくださいましたが、ぼくはあんまし関心ないのでさっぱり覚えていない。
しかし、以前から疑問だったことを尋ねてみた。
ここらは、米どころだけど、コシヒカリで有名な魚沼地域にあたるわけだけれど、魚沼産コシヒカリって、ほかのコシヒカリと種類が違うんだろうか?
(そんなことはみんな常識かなあ?たは〜。)
「いえー、米の種類は別に違わないんですよ。ほかのところと同じコシヒカリなんです」 と親切に教えてくださいました。
「へえ、同じなのに魚沼産のは高いんですねえ」
「やっぱりねえ、水がちがうんでしょうねえ。お酒も米はもちろんですが、水で変わりますからねえ」
「なるほど。ここらではほとんどコシヒカリですか?」
「ああ...もうそうですね。コシヒカリですね。お酒用のは違いますけれど」
「お酒用はちがうんですか」
「うまい米を酒にしてもうまくなるとは限らないのが面白いんですが、酒米作ってるところも多いですよ」
「ふうん。どんなのですか」
「五百万石とかですね。だいたいそうじゃないかな?」
そんな話をした挙句に日本酒3本荷物に包んでもらいましたが、もうとっくの昔に飲んじゃいましたが、銘柄も味も忘れた。

アイコ、お酒飲んでひと休みしたあとにおみやげあさってたんでしたが...、
そいでもって、最後にレジで精算したんでしたが...、
店を出てだいぶたってから、ふとなんとなくへんだなあ、と思ってレシートをチェックしてみたら、
なんと飲食代がすっぽり抜け落ちていることが発覚しました。
あははあ...ごめんなさいね。
また3年後に飲み食いさせていただきますので、お返しはそのときに。
ていうか、サーヴィスしてくれたんだろうか?(←たぶんちがう)


さあて宿に帰りましょ。
今日見るべき作品は以上!
なんか少なかったね。
でも雨だし、あちこち散らばってる中里のほかの作品見に行くのもかなり骨だし、
「全部見るぞー!」と意気込んではみたものの、実際には日程はきびしいわけだし、
まあ、適当に妥協するのも大人かな?と。



道中。写真は特に意味なし。
雨もさ、きれいだな〜っても思うね。
やだけどさ。




清津峡温泉街にたどり着きましたが、晩飯にはまだちょっと早いので、「湯処よーへり」に行ってみます。
「よーへり」3年前はなかった。
「よーへり」でも、芸術祭のヴィデオ・コンテスト作品、見られます。
で、「ヴィデオ見たいんですけど」って行ったら、おばちゃんが出てきて、
「えー、いいよ、けどいませっかくだれもおらんからお風呂入っていきいーよ。気持ちいーよー」
と熱心に勧められて、せっかくだから入ってみることにしました。
「よーへり」ってへんな名前。
名前の由来は聞き忘れたけど、この新施設の出来た由来は聞いた。
3年前、ここがなんて宿だったのか?知らんけれども、もう宿をやめる、ということになって、村で建物買い取って村営のお風呂屋さんにしたんだということでした。いや、村ではなくてここ、小出集落でってことだったかな?

お風呂自体はね、どってことないけれど、すぐ外に清津峡の流れが聞こえてね、
残念ながら流れが見えはしないんだけれど、窓を開けてると、だんだん暮れてゆく山の様子を眺めながらゆったり出来る、なかなかいい環境。
湯の前にね、ベランダ状のコンクリートの土間があるんですよね。
ひょい、って出て行けるんだけど、風が気持ちよくて思わず出て行きたくなっちゃうんだけれど、
となり女湯だからね、こんなのいいのかなあ?とか思いながらのんびりしました。
ここのお湯は源泉100%のかけ流し湯なんだそうです。
湯船の様子。これは男湯ですよ。
だーれもいなかったので、平泳ぎとかクロールとかして遊んでました。
少し濁ったお湯です。
清津峡来た人はね、宿の温泉はもちろんですが、「よーへり」もちょっと寄ってみるといいかもね。
濁ったお湯を少し口に含んでみますが、かすかに苦いような甘いような香り。

われわれがお風呂で騒いでる間にだんだん薄暗くなってきました。
ガラス窓の外には、ちょうちんみたいにランタンが並んでいて、ジジジ...と音を立てて灯りがともります。
そろそろあがらなきゃ、ヴィデオ見る時間がなくなる...。
湯からあがってジュース飲みながらヴィデオ鑑賞。
なんとなく、ビールという気分ではなかったので。
いつのまにか、ほかに3人ほどお客さんがいっしょにヴィデオを見ていました。
うちふたりはカップル。
ヴィデオ・コンテストについてはあんまし書くのはやめとこう。
あとから結果を見たら、ぼくが「こりゃかっちょいい」と思ったものは選外で、「なんだこりゃ?」って思ったものは入選していた。おれは動画見る目がないんだろうか?とか思った。
ヴィデオ見終わったら、「湯処よーへり」も店じまい。
「また来てね〜」と云われても次はたぶん3年後だ。

宿「村山荘」に戻るとすでに晩飯の準備が出来ていて、お酒注文して、テーブルの上の鍋に火を入れてもらう。
ほかに一組くらい客いたみたいだけれど、もう晩飯済ませた後みたい。
二十畳ばかしある広い部屋にわれわれだけぽつねんとして晩飯喰っている。
しばらくは女将さん出てきて話し相手になってくれました。
なかなか美人の女将さん。
で、さすが酒処だけあって、日本酒に詳しい。
いろいろ教えてもらったがもう忘れた。あはは。
山菜がうまい。
「これなんですか?」とか聞くと、
「あけびの芽ですねえ。今日採ってきたんですよ。卵と混ぜてくださいね」とか云う。
ほんとに今日かどうかはともかく、ひととおりの山菜はここらで採ってくるみたい。
旅先の飯はうまいのでがんがん喰うんだけれど、おひつのごはん、残らず食うぞー!と思ったけれど、これもまた風邪で調子悪く、少し残してしまった。残念。
つかまあ、ふたりで酒飲んで料理食って飯三合は喰いすぎだな。
昔はぺろりと喰えたのに。
年だなあ、とか思うのでありました。はー。

夜、テレビ見たり翌日の予定を考えたり。
で、また風呂入る。
ふつうの風呂だけど、ゆっくり入った。
湯からあがって自販機でビール買おうと思ったら、小銭がなくて買えない。
両替してもらおうにも、宿の人はみんな寝静まっている様子。
困ったなー、と思ったがのど渇いたので、しょうがない。
カギのかかった玄関からこっそり抜け出して外で買ってきた。
まあ、外で買うほうが安い。

こうして、越後妻有最後の夜もふけていくのでありました...。

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