大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003 見学日記

2003年8月19日(火曜日) 注:作品タイトルの前の数字は、公式ガイドブック記載の通し番号です。
(添番は、記述の都合上このページの作者が付けたものです。)

■中里(昨日よりつづき)


早朝、宿をたちます。
今日は、川西ステージへ向かいます。
宿の玄関先であふれんばかりの山百合がお見送りしてくれました。
(つか、昨日からあった(笑))
川西は十日町からすぐなので、いったん十日町へ行きます。



■十日町(ふたたび)


でまだ朝早いので...何時ごろかな?7時頃だっけ?朝ご飯食べる店を探します。
で、これ。ファミリーレストラン「びっくり」です。
なんだかみもふたもないネーミングにそれこそびっくり!なんだか恥かしい。
朝の定食食べました。
朝の定食だけじゃ味はわからんがとにかく安い!
キナーレから国道117号方面=本町通り方面へ向かって交差点右に曲がってすぐ。歩いて5分くらい。

前後しますが、キナーレ内の展示の一部を再びここでご紹介。


[007] 「グローイング」リン・ティエンミャオ(林天苗)

丸く囲われたブースに入ってみるとでっかい毛糸玉です。
狭くて写真に撮れない。

入口の棚はこんなん。
鑑賞者はこっからとってって、中央のでかい毛糸玉を少し、成長させます。



[009] 「かえっこショップ」藤浩司

この写真ではなんだかわかんないんですけどね。
ちゃぶ台がいっぱい並んでてその上におもちゃがいっぱいのっかってて、
子どもたちは、おもちゃを持ってここに来ると査定してもらって、応分なほかのおもちゃと交換することができるという、
文字通りのかえっこショップです。
うまく機能したんだろうか?ということが気になる...。



でキナーレで少し過ごしてから川西ステージへ向かいます。
川西はナカゴ・グリーンパークというところ。
川西ステージにはジェームズ・タレルの「光の家」ありますが、3年前に見たから今回はパスします。


■川西


したら満開のむくげの花がお出迎え。
ナカゴ・グリーンパークはいったいどういった施設なのか?
ゴルフ練習場あんだけれど、コースはない。
広い芝生があります。
ここから「光の家」方面、節黒城山方面へ向かうとキャンプ場とかあります。
自然と遊ぶレクリエーション施設かな?
これといってなにがあるというところではないんですよ、たぶん。

広い芝生にぽつねんとジャングルジム。
まだ朝早いし小雨模様なのでだれもいない。


トリエンナーレ・センター、のぞいてみたが別に何があるというわけではない。


[063] 「ベリー・スプーン」トゥー・ザ・ウッズ


トゥー・ザ・ウッズってのは夫婦のユニットなんだそうです。
いろんな種類のベリーを育ててそれをジャムやジュースやなんかの食品に加工する、そういうプロジェクトだそうです。
白いヴォールトの倉庫みたいなちっこい建物内で試食?出来ます。販売もしてたみたい?
中にはいろいろ資料の展示もあったみたいですが、われわれがのぞいて見たとき団体客がわんさかいて、めんどっちいので入ってみませんでした。
人が多かったということのほかに、なんとなくこじゃれた雰囲気のような気がして(笑)、女の子向けのような気がして入りにくかった、ということもある。うはは。
で、遠巻きに眺めただけ。
いま、ガイドブック見たらこの建物ベリーハウスというそうですが、川西のこへびステーションでもあるそうです。
そうだったのか。
まわりはすべてベリーの果樹園になってます。まわりというかベリーハウスの向こう側。かなり広い。
果樹園内散策できます。
3年後には、もっと繁っていることでしょう。



[064] 「時空」斎藤義重

ベリー果樹園のちょっと上にあります。
これは3年前の作品です。
鉄なんですけどね。
斎藤義重ってちょっとした人らしいんだけれど、あたしゃほとんど知らないんです。
名前はときどき聞くなあ、えらい人かなあ?とか思っている。



[065] 「レイチェル・カーソンに捧ぐ〜4つの小さな物語」藤原吉志子

これも3年前の作品。
この作品は、写真のうさぎだけでなく、同様の人形が数体、ギリシャの神殿跡みたいなオブジェといった複数の要素からなります。
ですので、写真は作品のごく一部だけ、ということです。
人形ね、なかなかかわいいよ。




これは作品ではありません。
でも真正面から見た姿がなかなかチャーミングだと思った。



[070] 「ホワイト・プロジェクト」新田和成


下からと上からの全景です。それと部分。
説明は別にいらん気がする...。
白い布切れ一枚一枚に刺繍してあります。全部ちがう模様。
ガイドブック見たら、なかなかいいこと書いてある。抜粋しておきます。
ホワイト・プロジェクトは、白い糸で縫いあわされた20cm角の白い布を集め、それらをつなげて越後妻有の大自然の中に展示しようとするもの。2002年に広島平和記念公園から始まったこのプロジェクトは、20世紀のあらゆる戦争犠牲者への慰霊と平和への願いの表現として多くの人々の参加によって行われるものだ。お年寄りを中心とする越後妻有の住民の協力を得て、一枚一枚手縫いされた布が約8,000枚集まった。なかには平和へのメッセージなどが刺繍されているものもある。
ということだそうです。
なんか千人針とかも思わせるね。
それはともかく、コンセプトにふさわしい壮大な展示になったと思います。みごと。



[068] 「河岸段丘」PHスタジオ

ひょいと目を横に向けるとこんなあずまやが見えます。
これは3年前の作品です。
なんで河岸段丘ってタイトルなんだろうか?
と、3年前思った。
いま同じように思っている。



[067] 「絵画のための見晴らし小屋」母袋俊也

側面見ると直角二等辺三角形の形です。
裏っかわに入口があって、せまーい階段を上がると壁のそこここにちっこい開口部があります。
この穴から外をのぞいてみるという作品。
外から見てるとね、ちっこい穴にひょいと人の顔が現れて面白かった。
このとき、団体さんと鉢合わせてなかに入るまでにかなり待ちました。



[066] 「グリーン・ヴィラ」たほりつこ


芝生の公園に土盛りして象形文字を描くプロジェクトです。
いわゆる地上絵。
これは出来れば俯瞰して眺めたいところだけれど、そのようなビュー・ポイントはたぶんない。
写真で向こうに見える白い網みたいのは、「ホワイト・プロジェクト」です。
子どもが遊んでいた。
こんな公園は楽しい。



さて川西は、以上でおしまい。
十日町に戻ります。

もう東京に帰ります。
電車の時刻までまだ少し間があるので、十日町で見損なった作品を見ます。

■十日町(みたび)

十日町を散策しながら、ついでに見損なったヴィデオ作品も見ようと思ったけれど、地図見ながら行った先では、すでに見たプログラムばっかりで、結局ヴィデオ・コンテストの作品半分しか見ることが出来ませんでした。残念。


[024] 「粟福と米福」古川弓子

左。入口に和歌があげられてます。
「ばんざらやさらちゅう山に雪ふりて雪を根として育つ松かな」
実になんてことはない句ですが、「粟福と米福」という昔話に出てくるんだそうです。
十日町の昔話のひとつ「粟福と米福」をモチーフにした作品。
こへびのスタッフの方がいろいろ説明してくれました。
彼は、近所の県の大学生。農学部だと云ってた。
「へー、農学部って農業の勉強するんでしょう?」(←我ながらバカなことを聞いたもんではある。)
「ええ、そうですね」
「美術はお好きなんですか?」
「いや、そうでもないんすよ」(笑)
「なんで芸術祭に関わろうと思ったんですか?」
「農業人口も減ってるでしょ?田舎は人も減ってますし。で、農業の活性化を図るためにアートとの結びつきというのもあるのかな?と思って、こへびに参加してみました」
ははあ、なるほど。
芸術祭はヒントにはなるかもしれんね。
ヒントにはなるかもしれんけど、なかなか解答でるまでには時間かかるでしょうね、と思いました。



ところでね、こんなディスプレイありました。
天井に帯が流れてる。
キモノの町ですからね。
これは作品ではないと思いますが。


もうだいたい見るべきものは見ちゃった。
キナーレに行きます。

キナーレは既出。こちら
せっかくだから、ここの温泉も入っていきます。
温泉ばっかり。
休憩室、ラウンジ、仮眠室等ひととおりそろってます。
まだあちこち新品で、ぴかぴかです。
ここの浴室の窓に作品があるんですが、それは夜にならないと見えない。
残念ながら暗くなるまで待ってられないので、見ることは出来ませんでした。
風呂は広くていい気持ち。
サウナのほか、日替わり薬草風呂とかいろいろあります。
休憩室でテレビ見ながらビール飲んでました。
つまみはいろいろあるけれども、へぎそば、食べられます。
ぼくは食しませんでしたが、なかなかおいしそうでした。
でもたぶん、近所のそば屋から持って来てるんだろうか?
出てくるまで時間がかかります。が、注文してみる価値はある、と思う。
実にうまそうだったから。
そんなして越後妻有最後の数時間をのんびり過ごしておりました。


ここでずーとのんびりしたいなあ、と思いましたが、もう帰る時間です。
十日町駅へ向かう。
歩いて5分くらい。

駅構内に入るとね、故障していた「ウォーターディスプレイ」がちゃんと動いてます。

[046-2] 「ウォーターディスプレイ」杉原有紀

初日見たときは故障中で体験できなかったのでなんだかうれしい。
初日の「ウォーターディスプレイ」はこちら

ぼくも入ってみましたが、頭濡らしてしまいました。
水の向こうの風景はどうということはありませんでしたが、なにげに楽しい装置だと思った。



前日だか前々日の夜に「トリエンナーレは今年でおしまいらしいよ」とだれかが云ってるのを耳にしました。
なんでも、この不況の折、あんまりお金を使ってるわけには行かないので次回の大地の芸術祭に県から補助金は出せない、と新潟県知事の正式発表があったそうです。
それで、「今年でおしまいだからねえ」というセリフをちらほら聞きましたが、2億円というもともとたいした額でもない補助金カットされたところで、中止ということはないだろうと思いました。補助金カットはいたいと云ってもね。
規模縮小することがあっても、がんばってまた3年後の開催をめざしてもらいたいもんですね。

閉会式もそれなりに盛り上がって2003年の大地の芸術祭も無事終了したようです。
北川フラムさん、こへびのみなさん、関係者の皆さん、お疲れさんでした。


ところで、まったく個人的なことになりますが、東京に戻ってから約1ヵ月後、ジョアン・ジルベルト奇跡の初来日公演、ありました。
それもまた鳥肌の立つような体験でありました。


「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003 見学日記」 了。

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