ささがにの蜘蛛手にかけて引く糸やけふ七夕にかささぎの橋
西行


「銀河を渡るカササギ号の物語」その2
7月7日


雨が降ったら、カササギは羽を広げることができませんので、
二人を会わせることができません。
また1年間おあずけです。

その年も、季節の風がひどく、不安定なお天気が続いておりました。
天気予報によると、ちょうど7月7日に小さな台風がやってきます。
どうしよう?と思いましたが、どうすることもできません。
せめて、晴れたらいつでも飛び立てるように準備をしておこうと思いました。

当日、選ばれたカササギ数羽が一族のものに見守られながら、
その里で一番高いクスノキのてっぺんで待機しておりました。
まだ昼過ぎです。
今日は、もう食事はしません。ときどき、仲間から口移しで水を呑ませてもらいます。
雲の多い空でした。でも雨は降っておりません。
見上げるとかなりの速さで雲が東へ移動しています。
低く見えますが、あのスピードですとおそらくかなりの高度があります。
あそこまで行くのがまず、一苦労だな、とか思います。

雨にぬれた羽は著しく風を切る能力を失ってもう飛ぶことができなくなります。
降らなければいいけれど...と思っていました。
このまま雲が行ってしまえば、晴れるかもしれないぞ、とも思っていました。


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