「月とその仲間の物語」その4
太陽さんのお怒りも、次第におさまってまいりました。
木星はその鷹揚な態度で誰からも好かれておりましたが、
火星や土星、天王星は、木星が太陽だったら良かったのになー、と思っていたので、
ちょっぴり、地球や金星をうらやましく感じていたのです。
冥王星「...おーい、地球さーん...」
地球「あれ?プルちゃんが何か言ってるよ。なんですかー。きこえませーん」
冥王星「あのねー、...えるー?あの虫...あ、...っちの体...
ていっち...んだけ...んな...いーのー?」
火星「...遠すぎますね」
木星「うおーむ、どぅおーむ、ぐおーるるー」
小惑星「チッチャイムシガトビダシテイッチャッタヨー、
ッテメイオウセイガイッテルソウデス、
ッテモクセイサンガイッテマスヨー!」
火星「木星さん、今日はご機嫌よろしいようですな」
月 「木星さんが太陽だったらよかったのにね」
火星「そしたら今ごろおれっちも水や大気でおしゃれになってたのになー」
地球「火星さんはいいじゃないですか、いつものお二人に囲まれて楽しそうですよ」
月 「もう50億年経っちゃったのね。早いものですわ」
木星「うおーむ、どぅおーむ、ぐおーるるー」
小惑星「ムシガアルファ・ケンタウリノホウヘムカッタヨー、ッテイッテマース!」
土星「えっ!ケンタウリ?おれに帽子を返しておくれよ、
って伝えてくれないかなー?」
ハレー彗星「しゅわっ、60年ぐらいしたら伝えておいたげるわよ、しゅわーっ」
月 「あら?ハレーさん、いつの間に?でも、あっちゅう間に行っちゃったわね」
水星「ハレーさん、ぼくんとこにもおいでよー、...きこえてるー?」
ハレー彗星「...」
ハレー彗星は、しかしすでにはるか遠くを突っ走っていました。
水星の声に応えるかのように、
一瞬その自慢の尻尾をオレンジ色に明滅させておりました。